由禧(よしき)先生
奪わずに生きる
2025/09/11 14:05:49
人生で、私たちはしばしば
「足りない」と感じる瞬間に出会います。
愛、承認、安心感――
目に見えない心の資源が不足しているとき、
人は無意識に他者からそれを奪おうとし、
虚言やごまかしに頼ることがあります。
しかし、奪う行為は一瞬の満足をもたらすだけで、
心の空洞を深める道でしかありません。
◇ 神話が教える「欠けの力」◇
ギリシャ神話には、
プロメテウスという英雄の物語があります。
神々から火を盗み、人類に与えた彼は、
罰として岩に縛り付けられ、
永遠に苦しみを受けます。
しかし、火を人間に与えた行為は、
単なる盗みではなく、
人間の創造力を目覚めさせる贈り物でした。
ここで大切なのは、
「奪う」行為そのものではなく、
「欠け」や「渇き」が
新しい価値を生む可能性があることです。
人は欠けを抱え、痛みを知るからこそ、
創造の力を持つのです。
◇ 虚言に溺れた人の末路 ◇
一方で、虚言癖に陥った人々の物語は、
あまりに現実的で冷たい教訓を与えます。
虚言で人の注意や承認を奪い続けると、
やがて信頼は失われ、
孤独だけが残ります。
与えられるはずの愛や理解は、
手の中から滑り落ち、
取り戻せなくなる。
これは単なる道徳的批判ではなく、
人間関係の自然の摂理です。
奪うことで得たものは、
決して本物の資源にはならないのです。
◇ 奪わずに生きるための旅 ◇
では、どうすれば他者を傷つけず、
心を満たすことができるのでしょうか___
1. 自分の中に「窓」を作る
怒りや嫉妬、寂しさが湧いたとき、
「私は今、これを欲している」
と、ただ言葉にしてみる。
感情を「客観視」することは、
奪う衝動にブレーキをかける第一歩です。
2. 小さな「創造」で満たす
愛や承認は、奪うだけでなく
「創る」ことでも手に入ります。
・感謝の言葉を誰かに贈る
・日記や絵、音楽で自分の思いを表現する
・自然や神仏に語りかける
「創造」とは受動的に待つことではなく、
能動的に「働きかける」ことから始まります。
3. 安全な循環を作る
信頼できる人との小さなやり取り、
共感や感謝の表現は、
奪わずに承認を受け取る練習になります。
◇ 欠けや弱さを創造の力に変える ◇
恥や情けなさ、
孤独といった感情は、
奪う衝動ではなく、
「創造の種」になり得ます。
奪うことから解放されると、
人生は静かで豊かなものになります。
プロメテウスが火を贈ったように、
私たちも欠けや痛みを原料に、
愛や創造を生み出すことができるのです。
虚言や奪う衝動に揺れたとしても、
気づき、観察し、
内側の資源を育てる小さな実践を積み重ねれば、
孤独や恥もただの痛みではなく、
価値ある物語に変わります。
奪う必要はないのです。
人の中には、
創り出せる力がすでに備わっている。
今日、まず一つ、小さな愛を創るところから。
はじまりはいつも、
そんな小さな小さな愛から__
そう思うのです。
由禧(よしき)
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