由禧(よしき)先生
心を蝕むものの正体
2025/08/05 22:36:20
静かに崩れていく世界と、祈りについて最近、とある物語に触れて、深く心を動かされました。
その物語に登場するのは、人の心の隙間に入り込んで、
人を人でなくしてしまうような存在。
ただの怪物というよりも、
目には見えないけれど確かに感じられる「何か」でした。
それは、痛みや孤独、喪失感といった、
人間の弱さにつけ込むようにして心を蝕んでいきます。
派手な暴力ではなく、静かに、じわじわと、深いところから崩していく。
その描写を見ながら、私はふと、ある時代のことを思い出していました。
もう何十年も前、「戦争が終わった」と告げられたあとの日本。
町が復興し、人々が日常を取り戻していく一方で、
言葉にならない悲しみや、癒えない傷を抱えたまま生きていた人が大勢いました。
表面は元通りに見えても、中から静かに壊れていく。
外からの攻撃ではなく、内側からじわじわと広がっていく「何か」。
それは、あの物語の中に登場する存在と、どこか重なるような気がしたのです。
戦争が終わっても、本当の意味での「平和」はすぐには訪れませんでした。
人と人とのつながりが断ち切られ、
信じることや、安心することさえ難しくなっていた時代。
見えない痛みが、次の世代にも連鎖していくような、そんな時代。
__そしてその後としての「今ここ」
少なからぬ人々が、自分の居場所が見つからなかったり、
誰かを信じることに疲れたり。
何かに追われているような、
でも何に追われているのかははっきりとわからない、そんな感覚。
もしかしたら、私たちもまた、
見えない何かと静かに戦いながら生きているのかもしれません。
物語の中で描かれていたのは、絶望の中でもあきらめない人の姿でした。
誰かを守りたい、という想いが、人を強くする。
弱さも痛みも抱えながら、それでも光を目指して生きる姿に、
私は静かに涙がこぼれました。
「平和」とは、単に戦いが終わることではなく、
人の心が壊れないように、誰かがそばで見守り続けることなのかもしれません。
新しい命を吹き込むように__
今日もまた、目には見えない祈りを込めて、暮らしていきたいと思います。
由禧(よしき)
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